事例

【北島町】
医薬品卸が取り組む新しい地域包括ケア

医薬品卸企業が立ち上げたコミュニティスペースを運営するよんくる様に、現在取り組んでいる地域包括ケアの新しいカタチについてインタビューしました!

2024.12.09
医薬品卸の新たな挑戦
居場所づくりと行政支援の両輪で取り組む地域包括ケア

医薬品卸を事業とする、株式会社よんやくの地域貢献事業としてよんくるは設立されました。地域に根ざしたコミュニティスペースとして、多様な世代が集う居場所づくりに貢献するとともに、行政への施策提案にも挑戦されています。そこで、よんくる代表の櫻井様、福本様に、設立の背景から現在の活動内容、将来のビジョンなどについてお話を伺いました。




■なぜ医薬品卸がコミュティスペースを?地域貢献への思い
―よんくる設立の経緯についてお聞かせください。

よんくるは、親会社のよんやくが地域貢献事業を模索する中で生まれました。当時、事業開発部門で地域包括ケアに資する新規事業を検討していたのですが、なかなか具体的なアイデアが浮かびませんでした。そんな中、地域包括ケアに携わる専門家からアドバイスを直接いただく機会に恵まれ、“居場所づくり”プラス“行政計画の作成支援”という、よんくるのアイデアが生まれたのです。社内で検討した結果、事業化が決定し、2022年10月に株式会社よんくるを設立。その後、事業内容の詳細な検討や建物の建設計画を進め、2024年4月に現在の施設
“よんくるLab” (以降、施設のことは「よんくるLab」と表記します。) をオープンすることができました。弊社は現在、3期目を迎えています。

よんくるLabは徳島県北島町に位置し、親会社よんやくの敷地内に施設を構えています。交流の場やセミナーなどに利用できるほか、レンタルキッチンも完備していますので、料理教室や介護食・離乳食などの試食会場としてもご利用いただけます。また、学生さんの自習室として、働く方のワーキングスペースとして、お一人のご利用も歓迎しています。
よんくるの事業コンセプトのひとつとして、ここへ多種多様な方に来ていただいき、意見を吸い上げて、それらを行政計画に活かすということを思い描いています。単なる場所の提供だけではなく、地域の方々と行政計画作成支援にも取り組んでいく。そこが新しいところだと思っています。伝え聞いた話になりますが、他社の方から、地域貢献の思いが強いよんやくさんだからできるという嬉しいお言葉をいただいたこともあります。 


北島町やチームオレンジと共に取り組む、認知症支援活動
―北島町との取り組みについて教えてください。

北島町との連携は、高齢者見守り協定から始まりました。当初は、よんやくのホールで認知症の市民公開講座を開催する予定でしたが、コロナ禍で延期となってしまったのです。そんな中、よんくるLabのオープンに伴って、北島町から「認知症カフェの会場として使わせてほしい」とお声がけいただいたことがきっかけで、一緒に取り組むこととなりました。ここの雰囲気を気に入って会場の予算取りをしてくださり、今では、よんくるLabでの認知症カフェの参加者が大幅に増えたという嬉しいお話を聞いています。

よんくるは「チームオレンジ」にも参加し、認知症の方々やそのご家族をサポートする活動に携わっています。チームオレンジには、地域包括支援センター、地域住民や一般企業などさまざまな立場の方が参加し、例えば認知症ケアパスの作成や新しい社会資源づくりといった具体的な支援策の検討を行っています。ケアパスとは、認知症の症状や進行度合いに応じて、どのような医療や介護サービスを利用できるかをまとめた指針のようなものです。これを作成することで、患者さんやご家族が適切なサポートを受けられるようになります。今までもケアパスはありましたが、チームオレンジとして、より使いやすいケアパスづくりに取り組んでいます。

■多種多様な人に利用してもらいたい。こだわりの空間づくり
―コミュニティスペースはどのように利用されているのでしょうか。

元々、認知症の方に
使っていただくことを想定して、よんくるLabには畑や花壇などを作っており、実際に北島町の包括支援センターと役割分担して花壇づくりを進めています。園芸療法といって、花を植えたり野菜を育てたりする活動は、認知症の方の心身の活性化が期待できます。直近では、11月中旬に参加者の皆さんと一緒にチューリップの球根を植えようと計画しています。ただ、このように認知症の方に利用していただく上で懸念していたのは、ここの場所が覚えられるだろうかということでした。そのとき、よんくるLabの前にバス停留所を作ったらどうかという話も上がり、さらに幅広く高齢者の方の移動支援まで発展しました。このような活動に参加していると、おのずと地域課題が見えてくることがあります。それが新しい社会資源の創出につながれば、よんくるの目的のひとつが果たせるのではと感じています。

最近では、学生や子どもたちが学習する場として利用してくれています。よんくるLabは、よんやくの敷地内にある上、施設内にはシルバー人材センターから来ていただいているスタッフさんもいるので、親御さんも安心できると思います。高齢者の雇用創出にも貢献できますし、なにより、子どもたちとシルバー人材のスタッフさんがひとつの空間で思い思いに過ごしているというのは、居場所づくりの目的を果たせている気がして、非常に感慨深い光景でした。


他にも、あらゆる方々が利用しやすいよう、設備には配慮しています。車椅子利用者の方からアドバイスをもらってバリアフリー設計を見直したり、男性にも気に入ってもらえるようウッドデッキや音響設備を揃えたりしています。誰もが居心地よく、安心して過ごせるように、空間づくりにはこだわっています。


■さらなる地域社会貢献へ。よんくるが描く地域包括ケアの未来像
―今後の展望についてお聞かせください。

今後の展望として、地域包括ケアシステムにおける役割をさらに拡大していきたいと考えています。現在のチームオレンジへの参加に加え、徳島県の混ざり合う社会応援事業を受託するなど、自治体との協働が増えつつある今、他の健康課題にも取り組みの場を広げていきたいです。例えば
、糖尿病や高血圧など、生活習慣病の予防や管理に関するセミナー、キッチンもあるので糖尿病食の料理教室といったイベントも開催できます。また、世代を超えた交流の場としての機能も充実していく予定です。子育て世代向けのイベントや、学生の学習支援、高齢者の生きがいづくりなど、幅広い年齢層が集える場所にできたら理想的です。


レンタルスペースなど利用料がかかる部分は抑えた価格設定にしていますし、広い駐車場もありますので、自治体の方はもちろん、企業の方でも一般の方でも、どうぞお気軽にご利用ください。

右から
株式会社よんくる 代表取締役 櫻井 基也 様
株式会社よんくる 福本 尚子 様
※所属名は、インタビュー当時(202496日)の名称です。

株式会社よんくる  徳島県のサードプレイス

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